私のキャリアの原点は、学生時代に訪れたパレスチナの難民キャンプで、紛争で自由を奪われた人々の暮らしを目の当たりにしたことです。その後、ロンドンの大学院で国際人権法を学び、外務省の外郭団体、国連やNGOで人権侵害に苦しむ人々の支援に携わってきました。
しかし、支援を届けられる人々は氷山の一角にすぎず、社会の構造そのものを変えなければ根本的な解決には至らないことも痛感してきました。私が、サステナビリティに向き合う企業が増えていることに気づきはじめたのは、ちょうどそのころです。資源、影響力、組織力のある企業は、社会変革の担い手になり得る存在です。その可能性を探るため、NGOの世界からビジネスの世界へとキャリアの軸足を移しました。転職先のPwCコンサルティングでは、企業の人権デューデリジェンスなどの支援に携わりました。
NGOとビジネス———異なる2つの経験を通じて、両者のあいだをつなぐ存在が必要だと考えるようになりました。サステナビリティに取り組む企業と、社会課題の現場を知るNGO。その二つのあいだには、しばしば深い溝があります。立場が違えば、見える景色も、使う言葉も違うからです。
現代の社会が抱える課題は、複雑に絡み合っています。一つの組織が、一つのセクターが、正しく動くだけでは、根本的な解決には届きません。組織や立場の垣根を越えて、さまざまな角度から手を尽くさなければ、仕組みは変わらないと思います。
だからこそ、両者をつなぐ「触媒」のような存在が必要なのではないか。その問いから、2024年に継青堂を立ち上げました。
継青堂の強みは、ビジネスと人権に関する専門性に加え、NGOとのネットワーク、そして社会変化を設計する戦略性にあります。これを掛け合わせ、一つの組織だけでは越えられない壁に挑みます。
だれも、社会の中心から外されることのない社会の実現に向けて、力を尽くしてまいります。
合同会社継青堂 代表執行役 樋口 利紀
プロフィール
ロンドン大学(SOAS)国際人権法修士課程卒。国連インターン、外務省外郭団体の難民支援事業を経て、国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルの日本支部に就職。国内外の人権課題の調査分析、社会的インパクト実現に向けた戦略・計画策定、実施評価・報告に従事。ジェンダー多様性、移民難民の包摂、ユース世代のエンパワーメント等のプロジェクトに携わる。その後、PwCコンサルティングに転職し、グローバル企業をクライアントに、人権方針策定と人権デューディリジェンス実施を支援。その後独立し、2024年4月に合同会社継青堂を設立。同社代表執行役。NPO法人なんみんフォーラム理事。